昔話
台風が接近する度に1990年の19号を思い出す。
台風19号は年号が平成に変わってから観測された最初のスーパータイフーンであり、その猛烈な攻撃力はいまだに自分史上トップクラスの強烈台風。
高知県室戸岬では最大風速43.3m/s、最大瞬間風速61.2m/sを観測し、1990年9月19日20時すぎ和歌山県白浜付近に上陸
実家は屋敷林に守られていたが、時折大きな風が吹くとどこからともなく軋む音が響く。夜半過ぎ、思わず目が覚めてしまうくらいの豪風が築百余年の木造家屋を揺らした。次の瞬間、無線機やローテーターから生えているケーブルが一斉に外へ引っ張られ、間髪入れず屋根瓦をカカカッと何かが打つ音が聞こえたかと思うとアクション映画の爆発シーンのような轟音が3Dサラウンドで鳴り響いた。何が起きたか一瞬で理解したが様子を見に行ってもしょうがないので諦めてふとんをかぶった。
翌朝、被害状況を視察。全高3mのルーフタワーは北側のステー2本がアンカーから引きちぎられ南側へ倒壊し、大屋根の途中に擱坐。下段に載せていた21MHz帯4エレ八木アンテナは全てのエレメントが飴のようにネジ曲がりアルミ屑。上段に載せていた50MHz帯6エレ八木アンテナは無事だったが、片づけるために一旦バラさないと無理の結論。ケーブルを引っ張られた無線機器のほうは、2台のトランシーバーはケーブルの長さに冗長性を持たせていたため助かった。けれども、ギリギリの長さで敷設していたローテーターコントローラーは凶暴な力とスピードで窓枠にまで引き込まれ破損。使用不能。状況、壊滅。
21Mをやられたのは痛かった。サイクル22のピークを過ぎたとはいえコンディションはまだまだ好調。なのに秋のDXシーズンを棒に振った。50MはEスポシーズンを過ぎていたのでそのまま冬眠。とはいえ、何も無いのも寂しいので、グランドプレーンアンテナで11月に暫定復帰。本格復帰は翌91年になった。しかし、この年に自動二輪の免許を取ってバイクも買ってしまい、無線のモチベーションは急激に低下。さらに92年2月の大雪でルーフタワー2度目の倒壊。以降、実家に常設の指向性アンテナを上げることはなかった。
結果的に無線をやめる遠因となった台風19号。一生忘れることはない。
未来妄想
自然の猛威に翻弄されず、長くこの趣味を続けるには回さないで済むアンテナか、クランクアップタワー(orエレベーター)しかないな。